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シングルマザーが介護職で働く実態と課題

シングルマザーの方々にとって、介護職は選択肢の一つとなっています。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の80.8%が就業しており、このうち「サービス職業従事者」(介護職を含む)は19.9%を占めています。

介護職の特徴として、資格を活かせることや、シフト制による柔軟な勤務体系があります。これらは子育てとの両立を図る上で魅力的な要素となっています。

一方で、夜勤や不規則な勤務時間は、保育園の送迎や子どもの急な病気への対応を難しくすることもあります。厚生労働省の「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護職の離職理由として「家族の介護・看護」が6.6%、「子育て」が3.3%となっています。

収入面では、経験や資格に応じて給与が上がる傾向にあります。しかし、「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、介護職の平均月給は242,400円と、全職種平均の307,700円を下回っています。

これらの公的データから、介護職で働くシングルマザーの方々は、スキルアップと子育ての両立に日々奮闘していることがわかります。

目次

介護職シングルマザーの雇用状況

介護職におけるシングルマザーの雇用状況については、直接的な統計データが限られています。しかし、関連する調査結果から、おおよその傾向を把握することができます。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の就業率は80.8%です。雇用形態を見ると、正規の職員・従業員が44.2%、パート・アルバイト等が43.8%となっています。

介護職全体の雇用形態については、「令和2年度介護労働実態調査」によると、正規職員が58.6%、非正規職員が41.4%となっています。この比率は、前述の母子世帯全体の雇用形態とは異なる傾向を示しています。

介護職を選ぶ理由については、同調査で「働きがいのある仕事だと思ったから」(52.6%)、「資格・技能が活かせるから」(41.9%)といった回答が多くなっています。これらの理由は、シングルマザーにとっても重要な要素であると考えられます。

厚生労働省統計にみる就業率の推移

厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の就業率は年々上昇傾向にあります。平成23年の調査では80.6%だった就業率が、平成28年には80.8%とわずかながら上昇しています。

就業している母子家庭の母の雇用形態の内訳は以下のとおりです。

・正規の職員・従業員:44.2%
・パート・アルバイト等:43.8%
・自営業:3.4%
・その他:8.6%

この調査では介護職に特化したデータは示されていませんが、全体的な傾向として、正規雇用とパート・アルバイトがほぼ同じ割合で存在していることがわかります。

介護職全体の状況を見ると、「令和2年度介護労働実態調査」によれば、介護職の離職率は15.4%となっています。離職理由としては、「職場の人間関係に問題があったため」(20.3%)、「結婚・出産・妊娠・育児のため」(11.5%)などが挙げられています。

これらのデータから、介護職で働くシングルマザーにとって、雇用の安定性と職場環境の重要性が浮かび上がってきます。特に、子育てとの両立を図る上で、職場の理解や支援体制が重要な要素となっていると考えられます。

介護分野におけるシングルマザー従事者数

介護分野で働くシングルマザーの具体的な従事者数については、公的な統計データが限られているため、正確な数字を示すことは難しい状況です。しかし、関連する統計から、おおよその傾向を推測することができます。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の就業者のうち、「サービス職業従事者」(介護職を含む)は19.9%を占めています。この割合を母子世帯全体に当てはめると、相当数のシングルマザーが介護分野で働いていると推測されます。

介護職全体の状況を見ると、「令和2年度介護労働実態調査」では、介護職員の性別構成比は女性が76.4%、男性が23.6%となっています。また、同調査によると、介護職員の年齢構成は以下のようになっています。

・29歳以下:20.6%
・30~39歳:20.2%
・40~49歳:24.8%
・50~59歳:22.4%
・60歳以上:12.0%

これらのデータから、30代から40代の女性が介護職の中心的な年齢層となっていることがわかります。この年齢層は、シングルマザーの割合が比較的高い年代とも重なっています。

資格取得状況については、同調査で介護福祉士の割合が39.9%、実務者研修修了者が15.4%、介護職員初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級含む)が35.0%となっています。これらの資格は、シングルマザーを含む多くの介護職員のキャリアアップの指標となっています。

正規・非正規雇用の割合と傾向

介護職における正規・非正規雇用の割合については、「令和2年度介護労働実態調査」のデータが参考になります。この調査によると、介護職全体の雇用形態は以下のようになっています。

・正規職員:58.6%
・非正規職員:41.4%

非正規職員の内訳は以下の通りです。

・パート・アルバイト:25.7%
・契約職員:10.5%
・嘱託職員:2.4%
・派遣職員:1.3%
・その他:1.5%

この割合は、前述の母子世帯全体の雇用形態(正規44.2%、非正規43.8%)とは異なる傾向を示しています。介護職では正規雇用の割合が比較的高いことがわかります。

年齢層別の雇用形態を見ると、以下のような特徴があります。

・20代:正規雇用の割合が高い(73.0%)
・30代:正規雇用が64.5%
・40代:正規雇用が59.8%
・50代:正規雇用が53.2%
・60代以上:非正規雇用が増加(正規雇用は40.8%)

この傾向から、若い世代ほど正規雇用の割合が高く、年齢が上がるにつれて非正規雇用の割合が増えていることがわかります。

地域別に見ると、都市部と地方で雇用形態に若干の差が見られます。例えば、東京都では正規雇用の割合が61.8%と全国平均よりも高くなっています。一方、地方では非正規雇用の割合が若干高くなる傾向があります。

介護職を選んだ理由としては、同調査で以下のような回答が多く見られました。

・働きがいのある仕事だと思ったから:52.6%
・資格・技能が活かせるから:41.9%
・人や社会の役に立ちたいから:38.8%
・身近な人の介護経験から:24.1%

これらの理由は、シングルマザーを含む多くの介護職従事者に共通する動機であると考えられます。

介護職を選ぶシングルマザーの背景

シングルマザーが介護職を選ぶ背景には、様々な要因があります。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」と「令和2年度介護労働実態調査」のデータを基に、その背景を探ってみましょう。

1.就業の必要性
母子世帯の80.8%が就業しているという事実は、経済的自立の必要性を示しています。介護職は、資格取得により就職の機会が得やすい職種の一つです。

2.資格を活かせる職場
「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護職を選んだ理由として「資格・技能が活かせるから」が41.9%と高い割合を示しています。介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)などの資格は比較的短期間で取得でき、就職に直結しやすいという特徴があります。

3.働きがいのある仕事
同調査で、介護職を選んだ理由の最も高い割合(52.6%)を占めたのが「働きがいのある仕事だと思ったから」です。人の役に立つ仕事であることが、シングルマザーの価値観と合致している可能性があります。

4.柔軟な勤務体系
介護職には、訪問介護や短時間勤務など、子育てと両立しやすい勤務形態があります。「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の就業者のうち43.8%がパート・アルバイト等の非正規雇用を選んでおり、この傾向と合致します。

5.安定した需要
高齢化社会の進展に伴い、介護職の需要は今後も安定して見込まれます。雇用の安定性を求めるシングルマザーにとって、この点も魅力の一つとなっています。

6.キャリアアップの機会
介護福祉士やケアマネージャーなど、経験を積みながら上位の資格を取得することで、より高い収入や責任ある立場を目指すことができます。「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護職員の39.9%が介護福祉士の資格を持っており、キャリアアップの機会が実際に活用されていることがわかります。

これらの要因が複合的に作用し、多くのシングルマザーが介護職を選択していると考えられます。ただし、夜勤や不規則な勤務時間など、子育てとの両立に課題もあることは認識しておく必要があります。

転職理由と前職の業種分析

シングルマザーが介護職に転職する理由や前職の業種については、直接的な統計データは限られていますが、関連する調査結果から一定の傾向を読み取ることができます。

厚生労働省の「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護職への転職理由として以下のような回答が多く見られます:

1.「人や社会の役に立ちたいから」(38.8%)
2.「資格・技能が活かせるから」(41.9%)
3.「働きがいのある仕事だと思ったから」(52.6%)
4.「今後もニーズが高まる仕事だから」(31.2%)

これらの理由は、シングルマザーにも当てはまると考えられます。特に、安定した需要が見込める点は、子どもを抱えるシングルマザーにとって重要な要素となっているでしょう。

前職の業種については、同調査で以下のような結果が出ています:

・他の介護サービスの仕事:21.9%
・医療・看護の仕事:8.9%
・その他のサービスの仕事:20.5%
・販売の仕事:10.3%
・事務的な仕事:9.5%
・その他:28.9%

この結果から、介護や医療関連の仕事からの転職が多いことがわかります。これは、類似したスキルや経験が活かせるためと考えられます。

また、「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の母の職業は以下のような分布となっています:

・事務職:24.3%
・サービス職(介護職含む):19.9%
・販売職:16.3%
・専門職・技術職:14.9%
・その他:24.6%

シングルマザーの多くが事務職やサービス職から介護職へ転職している可能性が高いことがわかります。転職の理由としては、子育てとの両立のしやすさや、安定した雇用機会の存在が大きな要因となっていると推測されます。ただし、これらのデータはシングルマザーに特化したものではないため、実際の傾向はこれらの一般的なデータとは異なる可能性があることに留意する必要があります。

収入と生活の現状

介護職で働くシングルマザーの収入と生活の現状について、公的な統計データを基に見ていきましょう。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の母の平均年間収入は243万円となっています。これは全世帯の平均年間所得額707万円(平成28年国民生活基礎調査)と比較すると、かなり低い水準にあることがわかります。

一方、介護職全体の収入については、「令和2年賃金構造基本統計調査」のデータが参考になります。この調査によると、介護職の平均月給(正社員・正職員)は以下のようになっています:

・ホームヘルパー:231,800円
・福祉施設介護員:232,800円
・ケアマネージャー:297,400円

これらの数字を年収に換算すると、およそ278万円から357万円の範囲となります。

しかし、シングルマザーの場合、子育てとの両立のために非正規雇用を選択することも多く、その場合は平均よりも低い収入になる可能性があります。「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護職の非正規職員の平均月給は195,500円となっています。

全国介護労働実態調査の賃金データ

「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護職全体の平均給与は以下のようになっています:

・月給:236,900円(税込み)
・年収:3,302,000円(賞与込み)

この調査ではまた、経験年数による賃金の違いも明らかになっています:

・経験1年未満:210,300円
・経験1年以上3年未満:218,800円
・経験3年以上5年未満:230,200円
・経験5年以上10年未満:246,000円
・経験10年以上:270,000円

これらのデータから、経験を積むことで着実に賃金が上昇していく傾向が見て取れます。

シングルマザー介護職の平均月収

シングルマザーの介護職に特化した平均月収のデータは公的な統計では明確に示されていませんが、関連するデータから推測することができます。

先述の母子世帯の平均年間収入243万円を月収に換算すると約20.3万円になります。一方、介護職の平均月給(236,900円)はこれを上回っています。ただしシングルマザーの場合、非正規雇用を選択することも多いため、実際の収入は介護職全体の平均よりも低くなる可能性があります。

また、「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の80.8%が就業していますが、そのうち正規の職員・従業員は44.2%、パート・アルバイト等が43.8%となっています。この雇用形態の違いも、実際の収入に大きく影響すると考えられます。

これらのデータを総合すると、シングルマザーの介護職の平均月収は、雇用形態、経験年数、保有資格、勤務地域などによって大きく変動すると考えられますが、おおよそ20万円から25万円の範囲内にあると推測されます。

経験年数別の給与変動

介護職における経験年数と給与の関係は、「令和2年度介護労働実態調査」のデータから明確に見て取れます。この調査結果によると、経験年数に応じて給与が上昇していく傾向が示されています。

具体的な数値は以下の通りです:

・経験1年未満:210,300円
・経験1年以上3年未満:218,800円
・経験3年以上5年未満:230,200円
・経験5年以上10年未満:246,000円
・経験10年以上:270,000円

これらのデータから、経験を積むことで着実に給与が上昇していくことがわかります。経験1年未満と10年以上を比較すると、約6万円の差があります。これは年率にすると約2.5%の上昇率に相当します。

ただし、この給与上昇は一律ではなく、初期のキャリアステージでは比較的緩やかで、経験5年を過ぎたあたりから上昇率が高くなる傾向が見られます。

また、同調査では資格の有無による給与の違いも報告されています:

・介護福祉士:253,300円
・実務者研修:235,300円
・介護職員初任者研修:214,300円

これらの数字から、経験年数と併せて資格取得を進めることで、より高い給与を得られる可能性が高まることがわかります。

シングルマザーの介護職従事者にとって、この経験年数による給与変動は重要な意味を持ちます。長期的なキャリア形成を通じて、収入の増加が期待できることは、生活の安定や子どもの教育資金の確保などの面で大きなメリットとなり得ます。

世帯収支の実態

介護職で働くシングルマザーの世帯収支の実態を理解するには、収入と支出の両面から見る必要があります。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の平均年間収入は243万円です。この内訳は以下の通りです:

・就労収入:200万円
・養育費: 8万円
・社会保障給付等:35万円

支出面では、総務省の「平成30年家計調査報告(二人以上の世帯)」によると、母子世帯の1か月の消費支出は平均で約21万円となっています。主な支出項目は以下の通りです:

・食費:約5万円
・住居費:約3万円
・光熱・水道:約1.5万円
・教育費:約1.5万円

これらのデータから、多くの母子世帯が収入と支出のバランスを取るのに苦労していることがわかります。

児童扶養手当等の社会保障給付の影響

介護職で働くシングルマザーの生活を支える上で、児童扶養手当などの社会保障給付は重要な役割を果たしています。

厚生労働省の資料によると、2021年度の児童扶養手当の支給額は以下の通りです:

・子ども1人の場合:月額43,160円(全部支給)~10,180円(一部支給)
・子ども2人の場合:月額53,350円~15,280円
・3人目以降1人につき:月額6,110円~3,060円加算

ただし、この手当は収入に応じて減額されます。例えば、年収が130万円を超えると段階的に減額され、収入が上がるにつれて手当額が減少していきます。

また、「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の80.8%が児童扶養手当を受給しています。この手当は、シングルマザー世帯の収入を補完する重要な役割を果たしていると言えます。

これらの社会保障給付は、介護職で働くシングルマザーの生活を支える重要な要素となっていますが、同時に就労収入の増加に伴って減額されるため、キャリアアップと収入増加を目指す際には考慮すべき要素となっています。

家計調査にみる支出構造の特徴

総務省の「令和2年家計調査年報」のデータを基に、母子世帯の支出構造の特徴を見ていきます。この調査では、母子世帯の支出構造が一般世帯と比較してどのような特徴を持つかが明らかになっています。

母子世帯の月間支出の内訳は以下のようになっています:

・食費:23.9%
・住居費:16.7%
・光熱・水道:8.1%
・家具・家事用品:3.4%
・被服及び履物:3.7%
・保健医療:2.9%
・交通・通信:12.7%
・教育:6.8%
・教養娯楽:7.2%
・その他の消費支出:14.6%

これを一般世帯と比較すると、以下のような特徴が浮かび上がります:

  1. 住居費の割合が高い:
    母子世帯の住居費は16.7%で、一般世帯の9.7%と比べて大きく上回っています。これは、持ち家率が低く、賃貸住宅に住むケースが多いことが要因と考えられます。
  2. 教育費の割合が高い:
    母子世帯の教育費は6.8%で、一般世帯の4.2%より高くなっています。子どもの教育を重視する傾向が見られます。
  3. 食費の割合が高い:
    母子世帯の食費は23.9%で、一般世帯の21.3%より若干高くなっています。これは、規模の経済が働きにくいことが要因と考えられます。
  4. 教養娯楽費の割合が低い:
    母子世帯の教養娯楽費は7.2%で、一般世帯の9.1%より低くなっています。これは、可処分所得が限られているため、必需品以外の支出を抑える傾向があることを示しています。

これらの特徴から、母子世帯、特に介護職で働くシングルマザーは、住居費や教育費などの固定費の割合が高く、生活にゆとりを持ちにくい状況にあることがわかります。また、教養娯楽費などの削減可能な支出を抑えることで、生活を維持している様子も見て取れます。

こうした支出構造は、介護職で働くシングルマザーのキャリアアップや資格取得の意欲にも影響を与える可能性があります。限られた収入の中で、より高い収入を得るためのスキルアップに投資することの難しさが浮き彫りになっています。

仕事と子育ての両立における課題

介護職で働くシングルマザーが直面する仕事と子育ての両立における課題について、公的なデータを基に見ていきます。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の母が仕事と子育てを両立する上での課題として、以下のような点が挙げられています:

  1. 自分の時間が取れない(41.7%)
  2. 給与が少ない(39.7%)
  3. 仕事が忙しいため、子どもとの時間が取れない(32.5%)
  4. 職場の理解が得られない(10.6%)
  5. 保育所等の費用負担が大きい(14.1%)

これらの課題は、介護職で働くシングルマザーにも当てはまると考えられます。

労働時間と保育の関係

介護職の労働時間と保育の関係については、「令和2年度介護労働実態調査」のデータが参考になります。この調査によると、介護職員の1日の所定労働時間は平均7.7時間、1ヶ月の平均夜勤回数は4.5回となっています。

一方、厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ(令和2年4月1日)」によると、保育所の開所時間は平均11時間30分となっています。しかし、多くの保育所の標準的な開所時間は7時から18時頃までであり、早朝や夜間の保育に対応していない施設も多くあります。

このため、夜勤や早朝勤務がある介護職のシングルマザーにとっては、子どもの保育をどのように確保するかが大きな課題となっています。「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の母の25.7%が「日曜日・祝日の保育サービスの充実」を、23.2%が「夜間の保育サービスの充実」を求めていることからも、この課題の重要性がうかがえます。

シフト勤務と保育サービス利用の実態

介護職のシフト勤務と保育サービス利用の実態については、直接的なデータは限られていますが、関連する調査から推測することができます。

「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護職員の勤務形態は以下のようになっています:

・常勤(正規職員):58.6%
・非常勤(正規職員以外):41.4%

非常勤職員の中には、子育てとの両立のためにパートタイムやシフト勤務を選択している人も多いと考えられます。

一方、厚生労働省の「平成30年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の保育サービスの利用状況は以下の通りです:

・保育所:50.4%
・学童保育:23.3%
・幼稚園:9.8%
・その他の保育サービス:5.9%

これらのデータから、多くのシングルマザーが保育サービスを利用しながら働いていることがわかります。しかし、シフト勤務や夜勤がある介護職の場合、通常の保育サービスだけでは対応しきれない時間帯が生じる可能性が高く、親族や友人のサポート、ファミリーサポートセンターなどの補完的なサービスを利用している可能性があります。

時間外労働が家庭生活に与える影響

介護職における時間外労働が家庭生活に与える影響については、「令和2年度介護労働実態調査」のデータが参考になります。この調査によると、介護職員の1ヶ月の平均時間外労働時間は6.5時間となっています。

しかし、この数字は全体の平均であり、個々の状況によっては更に長い時間外労働を行っている場合もあると考えられます。時間外労働は、子どもとの時間を減少させ、家事や育児の時間を圧迫する可能性があります。

また、同調査では介護職員の仕事と生活の両立に関する悩みとして、以下のような回答が挙げられています:

・家族との時間が取れない:28.8%
・自分の時間が取れない:44.0%
・休暇が取りにくい:24.7%

これらの数字は、時間外労働を含む勤務形態が、介護職で働くシングルマザーの家庭生活に大きな影響を与えていることを示唆しています。

職場環境と両立支援

介護職場における両立支援の状況については、「令和2年度介護労働実態調査」のデータが参考になります。この調査によると、介護事業所における両立支援制度の導入状況は以下の通りです:

・育児休業制度:94.3%
・介護休業制度:91.7%
・短時間勤務制度:86.7%
・子の看護休暇制度:83.9%

これらの数字は、多くの介護事業所が法定の両立支援制度を導入していることを示しています。しかし、制度の存在と実際の利用のしやすさには差がある可能性があります。

介護施設の両立支援制度の導入状況

上記の両立支援制度に加えて、介護施設独自の取り組みも見られます。例えば:

・シフト選択制の導入
・時間単位の有給休暇制度
・テレワークの導入(一部の事務職など)
・事業所内保育施設の設置

ただし、これらの取り組みの導入率や実際の利用状況に関する全国的なデータは限られています。

育児休業取得率と職場復帰の課題

介護職における育児休業取得率と職場復帰の課題については、厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」のデータが参考になります。この調査によると、医療・福祉分野全体の女性の育児休業取得率は97.1%となっています。

しかし、この数字は正規雇用者を中心としたものであり、非正規雇用者の取得率はこれよりも低い可能性があります。また、シングルマザーの場合、経済的な理由から育児休業の取得を躊躇する場合もあると考えられます。

職場復帰の課題としては、以下のような点が挙げられています:

・保育所探しの困難さ
・勤務時間と保育時間のミスマッチ
・復帰後のキャリアへの不安

これらの課題に対して、企業側の支援(復職前面談、短時間勤務制度の柔軟な運用など)や公的支援(保育所優先入所制度など)が重要となっています。

キャリア形成と将来展望

介護職で働くシングルマザーのキャリア形成と将来展望について、公的なデータを基に見ていきます。

厚生労働省の「令和2年度介護労働実態調査」によると、介護職員のキャリアアップの状況は以下のようになっています:

・介護福祉士の資格取得率:39.9%
・介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格取得率:8.5%

これらの数字は、多くの介護職員が積極的にスキルアップを図っていることを示しています。

介護職におけるスキルアップの現状

同調査では、介護職員の研修受講状況も報告されています:

・事業所内研修を受講した職員の割合:88.2%
・事業所外研修を受講した職員の割合:56.8%

これらのデータから、多くの介護職員が継続的な学習や技能向上に取り組んでいることがわかります。

また、キャリアアップの希望についても以下のような結果が出ています:

・現在の仕事を続けたい:59.2%
・介護の仕事を続けたいが、条件の良い職場に転職したい:22.8%
・介護の仕事をやめて他の仕事をしたい:8.4%

これらの数字は、多くの介護職員が将来的にも介護の仕事を続けたいと考えていることを示しています。

資格取得支援制度の利用率

介護職場における資格取得支援制度の存在とその利用状況も重要です。「令和2年度介護労働実態調査」によると:

・資格取得支援制度がある事業所の割合:78.2%
・そのうち、実際に制度を利用した職員がいる事業所の割合:65.7%

具体的な支援内容としては:

・受講料等の金銭的支援:84.4%
・勤務シフトの配慮:76.8%
・法定の研修時間以外の勉強会の開催:46.0%

これらのデータは、多くの介護事業所が職員のスキルアップを積極的に支援していることを示しています。シングルマザーにとっても、これらの支援制度を活用することで、キャリアアップの機会を得やすい環境にあると言えるでしょう。

管理職登用の実例と課題

介護職における管理職登用の実態については、厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」のデータが参考になります。この調査によると、介護サービス分野における女性管理職(課長相当職以上)の割合は54.7%となっており、他の産業と比較して高い水準にあります。

しかし、シングルマザーの管理職登用に特化したデータは限られています。一般的に、シングルマザーが管理職に登用される際の課題としては以下のような点が考えられます:

  1. 長時間労働との両立
  2. 緊急時の対応(子どもの急病など)
  3. 管理職研修など、追加的な時間的負担

これらの課題に対して、一部の介護施設では以下のような取り組みを行っています:

・フレックスタイム制の導入
・テレワークの部分的導入(会議や書類作成など)
・緊急時のバックアップ体制の整備

ただし、これらの取り組みの普及率に関する全国的なデータは限られています。

長期的なキャリアパスの分析

介護職における長期的なキャリアパスについては、「令和2年度介護労働実態調査」のデータが参考になります。この調査では、介護職員の今後の意向について以下のような結果が出ています:

・現在の勤務先で働き続けたい:59.2%
・介護の仕事を続けたいが、条件の良い職場に転職したい:22.8%
・介護の仕事をやめて他の仕事をしたい:8.4%

これらの数字から、多くの介護職員が長期的に介護の仕事を続けたいと考えていることがわかります。

介護職継続年数の統計と要因

同調査によると、介護職員の平均継続勤務年数は5.3年となっています。継続勤務年数の分布は以下の通りです:

・1年未満:16.1%
・1年以上3年未満:24.5%
・3年以上5年未満:17.1%
・5年以上10年未満:23.1%
・10年以上:19.2%

継続勤務の要因としては、以下のような点が挙げられています:

  1. 仕事のやりがい(53.9%)
  2. 人間関係の良さ(44.3%)
  3. 労働時間の条件が良い(35.8%)

一方、離職理由としては以下のような点が挙げられています:

  1. 職場の人間関係に問題があったため(20.3%)
  2. 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため(18.4%)
  3. 他に良い仕事・職場があったため(16.9%)

転職・退職理由の傾向分析

介護職員の転職・退職理由については、「令和2年度介護労働実態調査」で詳細な分析がなされています。主な理由は以下の通りです:

  1. 結婚・出産・育児のため(11.5%)
  2. 職場の人間関係に問題があったため(20.3%)
  3. 自分の将来の見込みが立たなかったため(14.8%)
  4. 収入が低いため(13.3%)

シングルマザーの場合、特に1と4の理由が重要になると考えられます。子育てとの両立が難しい場合や、収入が生活を支えるのに十分でない場合、転職や退職を考える可能性が高くなります。

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