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シングルマザーが融資の利用可能な制度と申請方法

シングルマザーの方々が利用できる融資制度には、国や地方自治体が提供するものがあります。これらの制度は、子育てや生活の支援、就業や住宅取得のサポートなど、様々な目的に対応しています。

厚生労働省が所管する母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、ひとり親家庭の自立を支援する主要な制度の一つです。この制度では、事業開始資金や修学資金など、目的に応じた資金種類が用意されています。

文部科学省所管の日本学生支援機構による奨学金制度も、子どもの高等教育費用の調達に活用できます。第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)があり、世帯の所得に応じて選択できます。

住宅関連では、国土交通省が監督する住宅金融支援機構による【フラット35】子育て支援型があります。これは、子育て支援に積極的な地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、子育て世帯に対して【フラット35】の当初の金利を一定期間引き下げる制度です。

また、地方自治体によっては、ひとり親世帯向けの公営住宅優先入居制度を設けているところもあります。

就業支援としては、厚生労働省が管轄する高等職業訓練促進給付金等事業があります。これは、看護師や保育士など、就職に有利な資格の取得を目指すひとり親家庭の親に対し、給付金を支給する制度です。

生活面での支援としては、都道府県社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度や、児童扶養手当制度があります。

各制度の詳細や最新情報は、お住まいの自治体の窓口や関連機関に直接お問い合わせください。制度は年度によって変更される場合があるため、最新の情報を確認することが大切です。

目次

シングルマザーが活用できる公的融資制度

シングルマザーの方々を対象とした公的融資制度の主なものに、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度があります。この制度は、母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づいて実施されています。

この制度では、事業開始資金、事業継続資金、修学資金、就学支度資金など、12種類の資金が用意されています。各資金には、それぞれ異なる貸付限度額や返済期間が設定されています。

利用にあたっては、各都道府県・指定都市・中核市の福祉事務所等に相談することから始まります。担当者が詳しい条件や必要書類について説明してくれます。

なお、この制度の利用条件や貸付内容は、各自治体によって若干異なる場合があります。また、国の政策変更に伴い、年度ごとに制度の詳細が変更されることもあります。

そのため、具体的な貸付条件や申請手続きについては、利用を検討する時点で、お住まいの自治体の担当窓口に直接確認することをおすすめします。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の概要

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、ひとり親家庭等の経済的自立と生活の安定を図るために設けられた制度です。厚生労働省の資料によると、令和5年4月現在、この制度では以下の12種類の資金が用意されています。

  • 事業開始資金
  • 事業継続資金
  • 修学資金
  • 技能習得資金
  • 就職支度資金
  • 医療介護資金
  • 生活資金
  • 住宅資金
  • 転宅資金
  • 就学支度資金
  • 結婚資金
  • 事業継続資金

これらの資金は、それぞれ異なる貸付限度額や返済期間が設定されています。利率は、原則として無利子ですが、一部の資金については、連帯保証人がいない場合などに年1.0%の利子が付く場合があります。

申請の際は、お住まいの都道府県・指定都市・中核市の福祉事務所等に相談します。各自治体によって受付窓口が異なる場合があるため、まずは自治体のホームページや電話で確認するのがよいでしょう。

審査には一定の時間がかかるため、資金が必要になる時期の少なくとも1~2ヶ月前には相談を始めることをおすすめします。ただし、緊急を要する場合は、その旨を相談時に伝えてください。

事業開始資金と事業継続資金の貸付条件

事業開始資金と事業継続資金は、シングルマザーの方が経済的に自立するための重要な支援ツールです。厚生労働省の公式情報によると、令和5年4月現在、これらの資金の貸付条件は以下の通りです。

事業開始資金の貸付条件:
・貸付限度額:3,000,000円
・返済期間:7年以内(据置期間1年以内を含む)
・利率:連帯保証人がいる場合は無利子、いない場合は年1.0%

事業継続資金の貸付条件:
・貸付限度額:1,000,000円
・返済期間:7年以内(据置期間6ヶ月以内を含む)
・利率:連帯保証人がいる場合は無利子、いない場合は年1.0%

これらの資金を利用する際は、具体的な事業計画を立てることが求められます。事業計画書の具体的な要件は各自治体によって異なる場合がありますが、一般的には以下のような項目が含まれます。

  • 事業の概要と目的
  • 事業開始(継続)に必要な資金の内訳
  • 事業の収支見込み
  • 返済計画

審査基準は自治体によって異なりますが、一般的には事業の実現可能性や返済能力などが考慮されます。ただし、この制度は福祉的性格を持つ貸付制度であるため、民間金融機関の融資とは異なる観点から審査が行われることがあります。

また、貸付後も定期的に事業状況を報告する必要があります。報告頻度や方法は自治体によって異なるため、貸付を受ける際に確認しておくとよいでしょう。

なお、これらの情報は令和5年4月時点のものです。制度の詳細は年度や地域によって変更される可能性があるため、実際に利用を検討する際は、お住まいの自治体の担当窓口で最新の情報を確認してください。

住宅取得に関するシングルマザー向け支援制度

シングルマザーの方々が安定した住環境を確保するための支援制度として、住宅金融支援機構による【フラット35】子育て支援型と、公営住宅におけるシングルマザー優先枠があります。

【フラット35】子育て支援型は、子育て支援に積極的な地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して実施している制度です。国土交通省の公表資料によると、令和5年度の制度概要は以下の通りです。

・当初5年間、借入金利から年0.25%引下げ
・対象者:子育て世帯(未就学児のいる世帯等)
・対象住宅:地方公共団体が定める子育てに適した住宅

一方、公営住宅のシングルマザー優先枠は、地方自治体によって制度が異なります。例えば、東京都の場合、「ひとり親世帯向け」として、都営住宅の募集戸数の一部を割り当てています。

これらの制度を利用する際は、お住まいの地域の自治体窓口や住宅金融支援機構に直接問い合わせて、最新の情報を確認することが重要です。

住宅金融支援機構のフラット35の利用方法

【フラット35】子育て支援型を利用するには、いくつかの手順を踏む必要があります。住宅金融支援機構の公式情報に基づき、主な流れを以下に示します。

1.お住まいの地方公共団体が【フラット35】子育て支援型を実施しているか確認します。
2.地方公共団体の定める要件を満たす子育て世帯であることを証明する書類を取得します。
3.【フラット35】の取扱金融機関に融資の仮審査を申し込みます。
4.仮審査が通過したら、正式に住宅ローンを申し込みます。
5.金融機関による審査を経て、融資が実行されます。

なお、【フラット35】は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する住宅ローンです。融資を受けるには、年収等の条件を満たす必要があります。具体的には:

・年収に占めるすべてのお借入れの年間合計返済額の割合(総返済負担率)が次の基準を満たすこと
 - 年収400万円未満の場合:30%以下
 - 年収400万円以上の場合:35%以下
・日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方
・申込時の年齢が70歳未満の方

子育て支援型の融資条件

【フラット35】子育て支援型の融資条件について、住宅金融支援機構の公式情報に基づき、詳細を説明します。

融資限度額:
・100万円以上8,000万円以下(1万円単位)
・建設費または購入価額(土地を含む)以内

返済期間:
・15年以上35年以内(1年単位)

金利タイプ:
・全期間固定金利

金利引下げ:
・当初5年間、借入金利から年0.25%引下げ

対象となる子育て世帯の例:
・中学生以下の子どもがいる世帯
・妊娠中の方がいる世帯
※具体的な要件は地方公共団体によって異なります。

対象住宅の条件:
・床面積が50㎡以上280㎡以下
・【フラット35】の技術基準に適合していること
・地方公共団体が定める子育てに適した住宅であること

この他にも、建物の耐久性や省エネルギー性等に関する技術基準があります。例えば:

  • 耐火構造または準耐火構造であること
  • 住宅の劣化対策が講じられていること
  • 一定の省エネルギー性能が確保されていること
  • バリアフリー性能が確保されていること

また、中古住宅の場合は、築年数や耐震性能に関する追加の条件があります。

これらの条件は令和5年4月時点のものです。制度は年度によって変更される可能性があるため、実際に利用を検討する際は、住宅金融支援機構の公式ウェブサイトや窓口で最新の情報を確認することをおすすめします。

シングルマザーの自立を支援する給付金制度

シングルマザーの経済的自立を支援するため、厚生労働省は複数の給付金制度を実施しています。その中でも特に重要なのが、高等職業訓練促進給付金等事業と自立支援教育訓練給付金事業です。

これらの制度は、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法に基づいて実施されています。目的は、ひとり親家庭の親が就職に有利な資格を取得したり、職業能力を開発したりすることを支援し、より良い条件での就職や転職を促進することです。

両制度とも、各都道府県・市・福祉事務所設置町村が実施主体となっています。そのため、具体的な申請手続きや給付額等は、お住まいの地域によって若干異なる場合があります。

これらの制度を利用する際は、事前に居住地の福祉事務所やひとり親家庭支援センターに相談することをおすすめします。担当者が個々の状況に応じた適切なアドバイスをしてくれるでしょう。

高等職業訓練促進給付金の申請要件

高等職業訓練促進給付金は、ひとり親家庭の親が看護師や介護福祉士、保育士など就職に有利な資格の取得を目指して1年以上養成機関で修業する場合に、生活費の負担軽減のために支給される給付金です。

厚生労働省の公式情報によると、令和5年4月現在の主な申請要件は以下の通りです:

1.児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準にあること
2.養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる者であること
3.就業または育児と修業の両立が困難であると認められる者であること
4.過去に訓練促進給付金を受給していないこと
5.平成31年4月1日以降に修業を開始する者については、原則として修業期間の最後の12か月の間に行われる教育訓練の中に訓練給付制度の対象とならないものが含まれていないこと

対象となる資格は多岐にわたりますが、主なものには以下があります:

  • 看護師
  • 准看護師
  • 保育士
  • 介護福祉士
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 歯科衛生士
  • 美容師
  • 社会福祉士
  • 製菓衛生師

なお、これらの要件や対象資格は変更される可能性があります。最新の情報は、お住まいの自治体の担当窓口でご確認ください。

支給対象となる資格と訓練期間

高等職業訓練促進給付金の支給対象となる資格と訓練期間は、資格によって異なります。厚生労働省の公表資料に基づき、主な資格の訓練期間と特徴を以下に示します。

1.看護師(修業期間:3年または4年)
看護師は医療現場で高い需要がある資格です。大学や専門学校で学び、国家試験に合格する必要があります。

2.准看護師(修業期間:2年)
准看護師は看護師の指示のもとで働く医療職です。看護師への進学のステップとしても利用されます。

3.保育士(修業期間:2年または4年)
保育所や児童福祉施設で働くための国家資格です。専門学校や短大、大学で取得可能です。

4.介護福祉士(修業期間:2年以上)
高齢者や障害者の介護を行う専門職の国家資格です。実務経験ルートと養成施設ルートがあります。

5.理学療法士(修業期間:3年または4年)
身体機能の回復や維持を支援する医療専門職です。大学や専門学校で学びます。

6.作業療法士(修業期間:3年または4年)
日常生活動作の回復を支援する医療専門職です。大学や専門学校で学びます。

7.歯科衛生士(修業期間:3年)
歯科予防処置や歯科診療の補助を行う医療職です。専門学校や短大で学びます。

8.美容師(修業期間:2年)
美容師法に基づく国家資格です。美容専門学校等で学び、国家試験に合格する必要があります。

給付金の支給期間は、修業期間の全期間(上限48か月)です。ただし、修業期間が1年を超え、2年未満の場合は12か月が、2年以上の場合は36か月が原則の対象期間となります。令和3年4月から令和5年3月までに修業を開始する者については、4年制養成機関(62か月以上のカリキュラム)で48月目までが対象となります。

給付額は、令和5年4月現在、以下の通りです:

・市町村民税非課税世帯:月額100,000円
・市町村民税課税世帯:月額70,500円
・修業期間の最後の12か月は、40,000円を上乗せ

これらの情報は令和5年4月時点のものです。制度は年度によって変更される可能性があるため、実際に利用を検討する際は、お住まいの自治体の担当窓口で最新の情報を確認することをおすすめします。

生活支援のためのシングルマザー向け貸付制度

シングルマザーの方々が生活上の様々な課題に対応するため、複数の貸付制度が用意されています。ここでは、生活福祉資金貸付制度と児童扶養手当制度について詳しく見ていきます。

生活福祉資金貸付制度は、都道府県社会福祉協議会が実施する貸付制度で、低所得世帯やひとり親世帯などを対象としています。一方、児童扶養手当制度は国が実施する手当制度で、ひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進を目的としています。

これらの制度は、経済的に困難な状況にあるシングルマザーの方々の生活を支える重要な役割を果たしています。ただし、それぞれの制度には固有の利用条件や申請手続きがあるため、利用を検討する際は詳細を確認することが大切です。

生活福祉資金貸付制度の種類と特徴

生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯やひとり親世帯、障害者世帯などを対象とした貸付制度です。厚生労働省の公表資料によると、この制度には主に以下の種類があります。

1.総合支援資金
2.福祉資金
3.教育支援資金
4.不動産担保型生活資金

これらの資金は、それぞれ異なる目的や貸付条件が設定されています。シングルマザーの方々が利用する可能性が高いのは、総合支援資金と福祉資金です。

総合支援資金は、失業等により日常生活全般に困難を抱えている方に対して、生活の立て直しのために貸し付けられる資金です。

福祉資金は、日常生活を送る上で一時的に必要となる費用や、住宅の補修等に必要な費用を貸し付ける資金です。

各資金の詳細な貸付条件や申請手続きは、お住まいの地域の社会福祉協議会に確認することをおすすめします。

総合支援資金の貸付上限額

総合支援資金の貸付上限額は、資金の種類によって異なります。厚生労働省の公表資料に基づき、令和5年4月現在の貸付上限額を以下に示します。

1.生活支援費
・貸付上限額:(2人以上世帯)月額200,000円
       (単身世帯) 月額150,000円
・貸付期間:原則3か月(最長12か月まで)

2.住宅入居費
・貸付上限額:400,000円

3.一時生活再建費
・貸付上限額:600,000円

これらの資金は、原則として3つセットで貸し付けられますが、借入申込者の状況に応じて、個別に貸し付けることも可能です。

総合支援資金の貸付利子は、連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%です。据置期間は6か月以内で、償還期限は10年以内となっています。

ただし、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置として、令和4年9月末までに申請を受け付けたものについては、償還期限を20年以内に延長し、据置期間を1年以内に拡大する措置が取られていました。

なお、総合支援資金の利用にあたっては、原則として生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援事業等による支援を受けることが要件となっています。これは、単に資金を貸し付けるだけでなく、借入世帯の自立を総合的に支援することを目的としているためです。

福祉資金の利用目的と返済期間

福祉資金は、日常生活を送る上で一時的に必要となる費用や、生活環境を改善するための費用を貸し付ける制度です。厚生労働省の公表資料に基づき、令和5年4月現在の福祉資金の主な種類、利用目的、貸付上限額、返済期間を以下に示します。

1.療養費
・目的:病気やけがの療養に必要な経費
・貸付上限額:170万円以内
・返済期間:5年以内

2.介護等費
・目的:介護サービス、障害者サービス等を受けるのに必要な経費
・貸付上限額:170万円以内
・返済期間:5年以内

3.福祉用具購入費
・目的:障害者の日常生活に必要な用具の購入経費
・貸付上限額:170万円以内
・返済期間:8年以内

4.住宅改修費
・目的:住宅の増改築、補修等に必要な経費
・貸付上限額:250万円以内
・返済期間:7年以内

5.災害援護費
・目的:災害を受けたことにより臨時に必要となる経費
・貸付上限額:150万円以内
・返済期間:7年以内

6.冠婚葬祭費
・目的:冠婚葬祭に必要な経費
・貸付上限額:50万円以内
・返済期間:3年以内

7.転宅費
・目的:転居に必要な経費
・貸付上限額:50万円以内
・返済期間:3年以内

8.就職支度費
・目的:就職に必要な洋服・靴等の購入経費
・貸付上限額:50万円以内
・返済期間:3年以内

福祉資金の貸付利子は、連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%です。ただし、災害援護費に限っては、連帯保証人の有無にかかわらず無利子となっています。

据置期間は6か月以内で、返済期間は資金の種類によって異なりますが、最長で8年以内となっています。

これらの貸付を受けるには、世帯の収入が一定基準以下であることや、他の資金の借入が困難であることなどの条件を満たす必要があります。具体的な条件は、お住まいの地域の社会福祉協議会に確認してください。

なお、福祉資金の利用にあたっては、必要に応じて民生委員の支援を受けることができます。民生委員は、地域の生活状況に詳しく、適切なアドバイスを提供してくれる可能性があります。

児童扶養手当制度の概要と受給条件

児童扶養手当制度は、ひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進を目的として、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)を監護している父母等に支給される手当です。厚生労働省の公表資料に基づき、令和5年4月現在の制度概要を説明します。

受給資格者は以下の方々です:

1.離婚等により、父または母と生計を同じくしていない児童を監護している母
2.父が死亡した児童を監護している母
3.父が重度の障害を有する児童を監護している母
4.母が婚姻によらないで懐胎した児童を監護している母
5.上記1~4に該当する児童を監護し、かつ生計を同じくする父母以外の養育者
6.1~3に該当する児童を監護している父

ただし、以下の場合は受給資格がありません:

・児童が里親に委託されている場合
・児童が児童福祉施設等に入所している場合
・受給資格者が日本国内に住所を有しない場合

また、所得制限があり、前年の収入額が一定額以上の場合は、手当の一部または全部が支給停止となります。

手当の支給額の計算方法

児童扶養手当の支給額は、受給資格者の所得や児童の数によって変動します。厚生労働省の公表資料に基づき、令和5年4月現在の支給額を説明します。

1.児童1人の場合の月額
・全部支給:43,070円
・一部支給:43,060円~10,160円

2.児童2人目の加算額
・全部支給:10,170円
・一部支給:10,160円~5,090円

3.児童3人目以降の加算額(1人につき)
・全部支給:6,100円
・一部支給:6,090円~3,050円

支給額は、受給資格者の前年の所得(養育費の8割を加算)に応じて決定されます。所得額が一定以上の場合、一部支給となり、さらに所得が増えると全部支給停止となります。

令和5年4月現在の所得制限限度額(収入ベース)は以下の通りです:

・扶養親族等の数が0人の場合
全部支給:160万円
一部支給:365万円

・扶養親族等の数が1人の場合
全部支給:198万円
一部支給:403万円

・扶養親族等の数が2人の場合
全部支給:236万円
一部支給:441万円

扶養親族等の数が1人増えるごとに、全部支給の場合は38万円、一部支給の場合は38万円ずつ加算されます。

所得制限と支給停止に関する規定

児童扶養手当の所得制限と支給停止に関する規定は、受給資格者の自立を促進するという制度の目的に沿って設計されています。厚生労働省の資料に基づき、主な規定を説明します。

1.所得制限
前述の所得制限限度額を超える場合、手当額が減額または支給停止となります。ただし、養育費の8割相当額を所得として計上する必要があります。

2.受給期間の制限(有期認定)
・受給開始から5年または手当の支給要件に該当してから7年を経過すると、手当額が2分の1に減額されます。
・ただし、以下の要件に該当する場合は減額されません:
a) 就業している
b) 求職活動等の自立を促進するための活動をしている
c) 障害や疾病などにより就業が困難である

3.所得の増加に応じた手当額の逓減
・受給資格者の所得が増加した場合、手当額が段階的に減少します。
・これは、就労意欲を阻害しないよう配慮された仕組みです。

4.公的年金等との併給調整
・遺族年金などの公的年金を受給している場合、その額が児童扶養手当額を上回る場合は児童扶養手当は支給されません。
・年金額が児童扶養手当額より低い場合は、その差額が支給されます。

5.支給の始期と終期
・認定請求をした日の属する月の翌月から支給が始まります。
・児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで支給されます(障害児の場合は20歳未満)。

6.支給時期
・年6回、奇数月に支給されます(1月、3月、5月、7月、9月、11月)。
・それぞれの支払日に、前月分までの手当が支給されます。

これらの規定は、受給者の就労を促進し、自立を支援することを目的としています。ただし、個々の状況に応じて適用される規定が異なる場合があるため、詳細はお住まいの自治体の窓口に確認することをおすすめします。

なお、これらの情報は令和5年4月時点のものです。制度は年度によって変更される可能性があるため、実際に利用を検討する際は、最新の情報を確認することが重要です。

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